双極性障害
うつ病だと思いながらも、極端に調子が良くなって活発になる時期がある場合は、双極性障害かもしれません。双極性障害は、躁病エピソード、軽躁病エピソードと抑うつエピソードを繰り返す病気です。躁状態とうつ状態は両極端な状態です。その極端な状態をいったりきたりするのが双極性障害なのです。
躁病エピソードの診断基準
基準1
気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的・易怒的(些細なことで怒りを感じたり、イライラした状態)な異常な状態が、少なくとも1週間に渡って、ほぼ毎日、1日の大半持続する。(入院措置が必要なほど症状が重篤な場合は期間は問わない)
基準2
基準1の状態の期間中、以下の症状のうち3つ以上が持続しており、普段の状態とは明らかに違う。ただし基準1における易怒性のみが認められる場合は4つ以上が当てはまる場合。
自尊心の肥大・誇大
自分は能力が高く、素晴らしい人間であると思う。何でも出来るような気持ちになる。
睡眠欲求の減少
夜遅くまで起きて、朝早く起きるなど、眠らなくても平気。例えば、3時間寝ただけなのに十分休息できたと思う。
多弁
必要以上に喋る。その際異常に会話を続けようとする切迫感を伴う。
観念奔逸(かんねんほんいつ)
考えが次々に浮かぶ。
注意散漫
注意が定まらず、あれこれと気が散る。集中力を欠いている。
精神運動焦燥
落ち着いていられず、絶えず体を動かしている。
後で問題が発生する可能性が高い快楽活動への異常な熱中
買いあさりや性的逸脱行為、ギャンブルに全財産をつぎ込むなど。
基準3
各種症状により日常生活、社会的活動に著しく支障をきたす。または、自己または他者に害を及ぼす事を防ぐため入院するほど重篤である。もしくは精神病性の特徴が存在する。
基準4
各種症状は薬物などの外的要因によって引き起こされたものではない。
(DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアルを参考に作成)
軽躁病エピソードの診断基準
軽躁病エピーソードと躁病エピソードの診断基準の違いは
基準1
気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的・易怒的(怒りやすい)な異常な状態が、少なくとも4日間に渡って、ほぼ毎日、1日の大半持続する。
基準2は躁病エピソードの基準2と同じ。
基準3
軽躁病エピソードの状態の時は、普段の状態とは機能的に明らかに変化が認められる。
基準4
各種症状による変化が他者によって観察できる。
基準5
各種症状により日常生活、社会的活動に著しく支障をきたさず、入院するほど重篤な状態ではない。
抑うつエピソードの診断基準
基準1
以下の症状のうち5つ以上が2週間以上起きている。また症状のうち少なくとも1つはaかbである。
a、自分や他者からみてほぼ毎日、1日中抑うつ状態である。
b、自分や他者から見てほぼ毎日、1日中興味が出ない、気分が落ち込みポジティブな感情が起きない。
c、大幅な体重の増減。または、ほぼ毎日食欲が増加または減退する。
d、ほぼ毎日、不眠または過眠。
e、他者から見て精神運動焦燥または制止がほぼ毎日ある。
f、ほぼ毎日疲労感または気力の減退がある。
g、無価値や罪責感をほぼ毎日感じる。
h、思考力、集中力の低下や決断困難な状態。
i、自殺念慮
基準2
各種症状により、日常生活、社会的活動に支障をきたしている。
基準3
各種症状は薬物などの外的要因によって引き起こされたものではない。
上に書いた、躁病エピソードと抑うつエピソードの両方が交互に繰り返すものを双極Ⅰ型障害。軽躁病エピソードと抑うつエピソードの両方が交互に繰り返すものを双極Ⅱ型障害といいます。
日本における双極性障害の患者数は0.4~0.7%といわれています。かかりやすさに男女比はなく、20代から30代前後に発症することが多いとされていますが。幅広い年齢で発症する病気です。
躁状態ではとても気分がいいので、本人は病気の自覚がありません。その為うつ状態では病院に行くのですが、躁状態のときには治療を受けないことがよくあります。また、うつ状態で受診すると多くの場合うつ病と診断されます。しかし、双極性障害のうつ状態では、うつ病の治療薬を投与しても十分な効果を得られず、逆に躁状態に転じることがあります。
うつ病と診断された患者さんの約20%が後に双極性障害へと診断が変更になっています。その原因として、患者さん本人が双極性障害について知らなかったり、躁状態を病気だと気づかず医師に話さなかった事などが挙げられます。双極性障害の診断には躁状態を見極めることが大切です。本人だけでなく、周囲の人も日頃の様子や気分の波を見守り躁状態に気づくことが大切です。
双極性障害は、早期に正しい治療をすれば症状をコントロールしながら普通の生活を送ることが出来る病気です。治療せずに放置すると多くの場合再発してしまいます。何度も再発を繰り返していると、家庭崩壊や失業、破産などの社会的損失が大きくなっていきます。
双極性障害の治療
双極性障害の治療には薬物治療と心理社会的治療がありますが、基本となるのは薬物治療です。さらに心理社会的治療と組み合わせると効果的です。
薬物治療
薬物治療には気分安定剤や抗精神病薬を使いますが、症状が落ち着いてきたからと服用をやめたり、自己判断で量を減らしたりすると再発したり副作用が出たりする恐れがありますので。主治医に相談してきちんと薬を飲むことが大切です。
心理社会的治療
心理教育・・・疾患について正しく理解し病気を受け入れコントロールできるようになる事、再発の予兆に自ら気付く事が目的です。
認知行動療法・・・うつ状態の時に陥りやすい考え方のくせや認知の歪みを知り、改善することでうつ状態を乗り切る方法を身につける事が目的です。
対人関係療法・・・家族や職場、学校などの周りの人と良好な関係を築き、病気を受け入れてサポートをしてもらう事が目的です。
睡眠・生活リズムの安定化・・・生活リズムの乱れは症状が悪化したり、再発の原因になったりと大きく関わってきます。その為、質の良い睡眠をしっかりとり規則正しい生活を送る事が重要になってきます。


